【コロナ拡大で政府検討】9月入学の現状とメリット・デメリット |ブログ|株式会社Lacicu

【コロナ拡大で政府検討】9月入学の現状とメリット・デメリット

【コロナ拡大で政府検討】9月入学の現状とメリット・デメリット

こんにちは、株式会社Lacicuの松永です。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、新年度から休校が続いている学校が多くあります。
授業の遅れや学力低下が懸念されていますが、その中で「9月入学案」が検討され始めています。

なぜ9月入学が検討されているのか、またメリット・デメリットを解説します。

9月入学の現状

日本では学校教育法施行規則に則り、学校の学年の始まりが4月に設定されています。
企業などと同じように1年が4月に始まり、3月で学年の区切りを迎える方式です。

元々は日本も9月入学でしたが、明治に国の会計年度が「4月から3月」と決まったことを受けて、学校も4月始まりになったと言われています。

実は4月入学を行っているのは日本くらいで、海外の主な国では9月入学がスタンダードになっています。

【9月入学】
アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、スペイン、ベルギー、イタリア、トルコ、モンゴル、ロシア、中国、香港、台湾

この場合、9月から学校開始の3学期制となります。
春休みが4月中旬、夏休みは6〜8月になり、冬休みが12月中旬から1月頭にかけてあります。

また「ミッドウィンターブレイク」と呼ばれる休みが2月中旬にも入ります。

9月入学のメリット

なぜ今になって9月入学が検討されているのでしょうか。

その理由は、9月入学を実施することで、新型コロナウイルス感染拡大による休校などの影響を回避できるのではないかという案があるためです。

コロナウイルスの影響も加味すると、次の4つのメリットが挙げられます。

メリット1:学習の遅れやばらつきを取り戻しやすい

現在、コロナウイルスの影響によって学校は休校や分散登校、オンライン授業を行うなどの措置が取られています。
しかし自治体や学校によって対応にばらつきがあり、休校している学校では授業に遅れが生じています。
またオンライン授業が進んでいるものの、対面ではない分、生徒の理解不足が生じている可能性もあります。

そこで次の新学年を2021年9月入学や始まりにすることで、時間的な余裕が生まれます。

この時間によって、来年の8月まで学習の遅れやばらつきを一律で取り戻そうというわけです。

メリット2:学校行事の実施が可能になる

授業が遅れている学校では、従来の4月〜3月のままでは学校行事や長期休みの中止や短縮をし、授業を進めることが検討されています。

しかし生徒の学校生活において体育祭や文化祭などの行事は、授業以外でのコミュニケーションや課題解決などを学ぶ場でもあり、真剣に行事に取り組めば良い思い出になるでしょう。

9月入学を実施して時間的な余裕を作ることで、これらの学校行事も実施できる可能性が高まってくるのです。

メリット3:受験期に交通障害や感染症のリスクを下げられる

4月入学では前年度末の秋〜冬が受験シーズンとなり、インフルエンザをはじめとする感染症が流行しやすいです。
また、大雪等による交通障害により受験会場までたどり着けない、試験時間が大幅に遅延するなどの影響がありました。

9月入学を実施すると、受験シーズンは春〜夏へと変更になります。
この時期であれば感染症や雪の心配をすることなく受験準備や本番に臨みやすくなります。

メリット4:国際標準に合わせることで留学しやすくなる

海外の学校では9月入学がスタンダードなため、留学を希望する日本の学生は半年ほどのブランク期間を過ごすなどズレを考慮しながら留学のスケジュールを立てなければなりませんでした。

これが9月入学となれば多くの国々と学年の接続がスムーズになるため、学生が留学しやすくなる可能性が高いのです。

9月入学のデメリット

いいことづくめに感じられる9月入学ですが、下記3つのようなデメリットも考えられます。

デメリット1:幼稚園や企業との接続の問題

仮に小学校から9月入学を実施した場合、幼稚園から進学してくる子どもに半年間ブランクができてしまいます。
また、大学を卒業して就職する人にも8月卒業して4月入社だと同様にブランクができます。

学校の9月入学を検討するにあたり、その入り口や出口の部分をどうするのかという議論が残されたままになっています。

デメリット2:入試等、大幅な学校スケジュールの変更

入学のタイミングが4月から9月に変更されることにより、当然ですが学校の年間スケジュールの大幅な変更が余儀なくされます。

また高校や大学は入試の実施をいつにするかという問題も生じてきます。

デメリット3:教員の不足と待機児童の増加

現在、2021年9月の新入生を「2014年4月2日生まれ〜2015年9月1日生まれ」までと、5ヶ月分増やす案を文部科学省は検討しています。
これにより9月に小学校へ入学するまでの5ヶ月間、子どもたちが幼稚園や保育所に長く在籍することになり待機児童が増える試算が出ています。

また、この学年だけ人数が他学年との比較で1.4倍となり、これに対応する教員数が全国で約2.8万人不足しているとの試算も出ています。
来年度から9月入学を実施するにしても、突然この人数の教員を充足させるのは容易ではありません。
(参考:9月入学で教員2.8万人不足の推計 待機児童も急増|朝日新聞

コロナの影響で教育業界も変わるかもしれない

日本の9月入学の実施は未だ決定はしていませんが、政府での議論はなされ始めており、実現可能性は十分にあります。9月入学が実現した際には、入試の時期やその対策もスケジュールをはじめ様変わりするかもしれません。

コロナウイルスという感染症の影響で、学校をはじめとする教育業界のあり方も大きく変わるかもしれないため、今後の動向を注意深く見ていきたいものです。

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