【行動経済学で見る】勉強をさせるために、ご褒美で釣ってよいと思いますか? |ブログ|株式会社Lacicu

【行動経済学で見る】勉強をさせるために、ご褒美で釣ってよいと思いますか?

【行動経済学で見る】勉強をさせるために、ご褒美で釣ってよいと思いますか?

株式会社Lacicuの山田です。

先日の自立学習EXPOでは、たくさんの方にお越しいただきありがとうございました!

懇親会にて、ある受験コンパス加盟校の先生から「コラムいつも楽しみにしてます!」という言葉をいただき、他の業務そっちのけでコラムを執筆しております(笑)

自立学習EXPOのレポートに関しては、京都が終了するまで少しお待ちください。

 

それではコラムの内容に入りたいと思います。

突然ですが、みなさんは子どもに勉強をさせるために、ご褒美で釣ってもよいと思いますか?

教育評論家や子育ての専門家と呼ばれる人たちは、ご褒美で釣ってはいけないという意見が大半のように思います。

今回は、行動経済学の視点で、あくまでも客観的に上記の質問について考えてみます。

 

つい目先の利益を優先させてしまう

経済学には、「教育の収益率」という概念があり、「1年間追加で教育を受けたことによって、その子どもの将来の収入がどれぐらい高くなるか」を数字で表します。

そして、教育投資への収益率は、株や政権などの金融資産への投資などと比べても高いことが、多くの研究で示されています。

 

つまり、今ちゃんと勉強しておけば、将来の収入が高くなることは数字で示されているわけです。

にもかかわらず、なぜ子どもたちは、目の前にご褒美がなければちゃんと勉強しないのでしょう。

 

実は人間には目先の利益が大きく見えてしまう性質があり、それゆえに

遠い将来のことなら冷静に考えて賢い選択ができても、近い将来のことだと、たとえ小さくてもすぐに得られる満足を大切にしてしまうのです。

※経済学の用語で「双曲割引」といいます。気になる方はこちら

 

将来のことを考えればちゃんと勉強したほうがよいことがわかっているのに、つい勉強せずに楽をするという近い将来の満足を大切にし、その結果「勉強するのは明日からでいいや」と先送りしてしまうのです。

大人でも、ダイエットや禁煙は難しいものですよね。

 

この「目先の利益や満足をつい優先してしまう」ということは、裏を返せば「目の前にご褒美をぶら下げられると、今勉強することの利益や満足が高まり、それを優先する」ということになります。

実は、子どもにすぐに得られるご褒美で釣るという作戦は、勉強することを先送りさせないためには有効なのです。

 

「テストで良い点をとればご褒美」と「本を読んだらご褒美」-どちらが効果的?

「テストでよい点をとればご褒美をあげます」

「本を1冊読んだらご褒美をあげます」

 

上記のうち、子どもの学力を上げる効果を持つのはどちらでしょうか?

このような研究を行っているのが、ハーバード大学のフライヤー教授です。

 

フライヤー教授が実施した実験は、大きく分けると2種類ありました。

ひとつは、「アウトプット(結果)」すなわち学力テストや通知表の成績などをよくすることにご褒美を与えるというものです。

「テストでよい点を取ればご褒美をあげます」はこちらに該当します。

 

もうひとつは、「インプット(行動)」すなわち本を読む、宿題を終える、学校にちゃんと出席する、制服を着るなどのことにご褒美を与えるというものです。

「本を1冊読んだらご褒美をあげます」はこちらに該当します。

 

インプットにご褒美を与えると、本を読んだり宿題をしたりするようにはなるかもしれないですが、必ずしも成績がよくなるとは限りません。

一方、アウトプットにご褒美を与えることは、より直接的に成績をよくすることを目標とするため、直感的にはアウトプットにご褒美を与えるほうがうまくいきそうに思えます。

 

しかし、結果は逆でした。

学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだったのです。

 

なぜ「インプット」のほうが学力テストの結果がよかったのか?

意外にも、アウトプットにご褒美を与えられた子どもたちの学力は、まったく改善しませんでした。

これはなぜでしょうか?

 

鍵は、子どもたちが「ご褒美」どう反応し、行動したかということにありました。

「インプット」にご褒美が与えられた場合、子どもたちにとって、何をすべきかは明確です。

一方、「アウトプット」にご褒美を与えられた場合、何をするべきか、具体的な方法は示されていません。

 

ご褒美は欲しいし、やる気もある。しかし、どうすれば学力を上げられるのかわからないのです。

 

フライヤー教授が、実験の後に行ったアンケート調査は、アウトプットにご褒美を与えることがうまくいかなかった理由をはっきりと示していました。

アウトプットにご褒美を与えられた子どもたちは「今後もっとたくさんのご褒美を得るためには何をしたらよいか」という問いに対し、ほとんど全員が「しっかり読む」「解答を見直す」などのように、テストを受ける際のテクニックについての答えに終始していたのです。

 

導いてくれる人がいれば成績は上がる

子どもたちは、「勉強のしかたを変える」や「授業をしっかり聞く」などのように、本質的な学力の改善に結びつく方法にまでは、考えが及んでいなかったのがわかります。

だとすれば、その方法を教えてあげる人がいるとよいのではとう仮説が生まれてきます。

 

そこで、次のような研究があります。

ニューヨーク市立大学のロドリゲス准教授は、子どもの学習の面倒をみる指導者や先輩がいる場合には、アウトプットにご褒美を与えても学力が改善することを発見しました。

指導者や先輩が、目標のためにどのように努力すべきかについて具体的な道筋を示してくれたからです。

アウトプットにご褒美を与えるためには、どうすれば成績を上げられるのかという方法を教え、導いてくれる人が必要であることがわかります。

 

まとめ

長くなってしまいましたが、まとめると

 

・人間は目先の利益を優先してしまう性質がある

・ご褒美は「本を読む」「宿題をする」などのインプットに与えるべき

・アウトプットにご褒美を与えるには導いてくれる人が必要

 

ということになります。

 

最後に、これを受験コンパスの運用に照らし合わせてみましょう。

塾に通ってくれる生徒の目的は「成績を上げる」というアウトプットです。

アウトプットを叶えるために、できるだけ詳細なインプットへの変換が必要になります。

今月は何をすればいいか、今週は何をすればいいか、今日は何をすればいいか、というところまで噛み砕ければ、インプットに変換されます。

そしてそれを導いてくれる先生がついていてくれます。

そうすると「合格」というご褒美に近づいていくわけです。

 

 

いかがでしたでしょうか?

受験コンパスの指導法は、行動経済学で見ても理にかなっていると思います。

ぜひうまく利用していただき、どんどん生徒達にご褒美を与えていきましょう!

 

今回はこちらの書籍を参考にしました。気になる方はお手にとってみてください!

 

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