受験においての「生徒の決断」!スワコラム(東大卒 諏訪孝明の連載) |ブログ|株式会社Lacicu

受験においての「生徒の決断」!スワコラム(東大卒 諏訪孝明の連載)

受験においての「生徒の決断」!スワコラム(東大卒 諏訪孝明の連載)

高校生が受験勉強を始めようと決意すると、様々なことを決定するよう迫られます。

そして、その決定は「一生を左右する」ような重要な決断であることも多いです。

我々は生徒たちの決断をどのように手助けすればよいのでしょうか。

スムーズな決断のための情報提供やアドバイスをすることができれば

・新規面談での信頼獲得から入塾につながりやすくなる
・月間面談や週間面談での信頼獲得によりその後の管理がしやすくなる
・きっぱりと決断をしてモチベーションが高い状態で受験勉強を始めてくれる 

などのメリットを感じることができます。

1: キャリア(仕事)

キャリア教育、という言葉が一般的になって久しいですね。

「キャリアコンサルタント」という国家資格も2016年4月に創設されました。

「キャリア」に対する注目度は高まっています。

文部科学省は、キャリア教育を「一人一人の社会的・職業的自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、 キャリア発達を促す教育」と定義しています。( 中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成 23 年1月 31 日)

つまり、「キャリア教育」とは将来何らかの職につくための準備全般を指すものであり、受験対策を指導することも広義のキャリア教育の一部であると言えます。

また、受験コンパスを用いて学習を管理することで「継続すること」「目標達成にこだわること」「自分を律すること」など職業人として必要な素養を身につけることができます。

一般的には、「キャリアについて考えよう」という問いかけは「どんな職業に就くか」「どんな会社に入社したいか」を意味しています。

この意味での問いかけを高1生・高2生にすると「別に…」とか「決まってないです…」などのビミョーな反応しか返ってこないことになってしまいます。

「○○社に入社したい」という希望が明確に定まっている場合、週刊ダイヤモンドの2017年9月16日号を使用して受験するべき大学を決定していくことができます。

モチベーションを一気に高めることもできます。

 

●キャリア教育実践編

しかし、最近は「一流企業に行きたい」などの野望・野心を抱いている生徒も少なくなってきました。

そこで、今回は職業選択の話をふったときに「別に…」「興味ない…」などと答えてくるような生徒に対してのキャリア教育について考えていきます。

キャリアには、「外的キャリア」「内的キャリア」の2種類があるという考え方があります。

「外的キャリア」とは、第三者からみたキャリアです。

つまり、どんな組織に所属していてどんな地位なのか、どんな仕事をしてきたのかなどを指します。

上述の通り、私たちが「キャリア教育」と聞くとこちらをイメージします。

一方で、「内的キャリア」とは外的キャリアの内側にある価値観・動機・想いのことです。

まだ仕事に就いていない高校生にたいしてこの話題をする場合、「仕事をしているとき、どんな気持ちでいたいか」を考えてもらうことが多いです。

実際の会話例を示します。

「仕事って、何歳のときから始めるか知っている?そう、23歳だよね。じゃあ、定年退職っていつか知ってる?

そう、65歳だよね。じゃあ、仕事は何年間?そう、42年間だね。1日何時間仕事をするのかな?9時から5時(17時)だね。

超絶ホワイト企業に入った場合だけど(笑)8時間×240日×42年だと、80640時間だね。

想像つく?僕はつかないわ(笑)めっちゃ長いから、仕事は楽しいほうがいいよね!?どんな仕事だと楽しいかな?ちょっと一緒に考えてみようか。」と話します。

そして、まず受験にこだわらず体育や音楽なども含めて得意な科目や好きな科目があるかどうかを確認します。

現時点で持っている知識や技能は今後のキャリア形成に大きなヒントになるからです。次に、どんな行動・思考のクセがあるのかを探ります。

「行動特性・思考特性」や「コンピテンシー」と呼ばれることもあります。

これは、無数のカテゴリーや表現が存在するものです。

ゼロベースで高校生に対してヒアリングをかけることもできますが、私はDiSCⓇ理論を活用することが多いです。

気になった方は検索して調べてみてください。また、価値観と向き合ってもらうこともあります。

「何をしているときが幸せか」「何をしているときにイライラするか」「何をしていたいか」「何はしていたくないか」という問いを発し、考えてもらいます。外的キャリアと内的キャリアは密接に連関しています。

内的キャリアに目を向けさせることで、外的キャリアの形成にも興味を持ってもらうきっかけを提供できると理想的です。

キャリアについて真剣に考えてもらった後で以下のことについて考えてもらうとより深い議論になることが多いです。是非参考にしてください。

2: 文理選択

多くの高校生が高1の11月頃に文系クラスに進学するか理系クラスに進学するかの選択を迫られます。

私は、アドバイスをする際の優先順位として

①将来の夢から逆算
②学びたい学問の学部
③得意不得意科目を考慮する、としています。

①②③がある場合にはすんなり決まります。

そうでない場合、つまり将来やりたい仕事が未定で、苦手教科や不得意教科が無い場合には理系を勧めています。
理由は二つあります。

①理系のほうが就職氷河期に強い

②理系→文系のいわゆる「文転」はしやすいが逆は難しい

という2つの理由からです。
特に、増税や東京オリンピック後の反動により訪れると予想される不景気はいつまで続くか不透明ですから「就職氷河期に強い」は魅力的です。

3: 志望大学選択

文理選択をしたら、どこの大学に行きたいかを考えることになります。

その際、大学のブランドを重視する生徒、偏差値を重視する生徒であれば話が早いです。

そういった生徒の場合は何の苦労もなく話が進みますのでここでは言及しないことにします。

問題は、ここでも「別に…」「決めてません…」となるケースです。

そういった場合、
①気になる大学のオープンキャンパスにいく
②気になる大学の先輩の話を聞く
③気になる大学の資料請求をする
④気になる大学のインターネットページをみる
⑤気になる大学の公開授業を受けてみる

の順に行動を促します。

すべてをやるようにはいいません。どれか1つで良いよ、と伝えます。

「気になる大学」は、志望している大学ではなく何らかの形で知っている大学です。

「肉親が通っている・出身である」「学校の先生の母校である」「近くにある」などどんなきっかけでも良いので知っている大学です。

そして、どのような感想を持ったかを聞き出します。それによって、次のアクションを変えていきます。

例えば、法政大学に関して調査した人が「ビミョー…」などのリアクションをした場合には青山学院大学を調査するように声をかけたりします。

このとき、どのような大学を勧めるかの精度は①で価値観をしっかり把握できたかどうかに依存しています。

4: 志望学部選択

学部や学科の選択については、『蛍雪時代4月臨時増刊全国大学学部・学科案内号』を活用しています。

また、志望大学が先に明確になっている場合には大学のホームページを活用します。

個別の学部・学科について私見を述べたいところですが、それはまた別の機会に。

5: 受験科目

受験する大学・学部・学科が決まったら、受験科目を決定することができます。

たいていはすんなり決まりますが、時折理科や社会において、「どっちが良いですか?」という質問を受けることがあります。

一番多いのは「日本史or 世界史」の相談です。

「広く浅く学ぶ」「カタカナ用語も覚える」「地図問題も攻略する」という世界史の特性をどう評価するかで決めてもらいます。

日本の歴史は小学校や中学校でも学んでいるので馴染みがあります。

なので日本史のほうが人気があるようです。しかし、日本史のほうが暗記量が多いです。

私は、「迷ったら世界史にしときなさい」と言っています。

次に多いのが「物理or 化学」の相談です。

理科が2つ必要な生徒から化学を選択することを前提に「物理or 生物」の相談を受けることもあります。

進むべき学部・学科の勉強内容で選ぶのが理想ですが、合格のための選択が求められる場面もあります。

そんなときは「数学が得意なら物理」「暗記が嫌いなら物理」「暗記が得意・暗記で勝負したいなら生物」「安定して高得点をとりたいなら物理」といった指針を提示します。

番外編として、受験科目数の相談について言及します。

「英国社3科目受験と英国2科目受験があるのだが、どちらが良いか?」という相談です。

これについては、相談を受けた時期によって指針を変えています。

高2の秋~高3の4月前後まででしたら、科目数が多いほうを勧めます。

合格に求められる1科目当たりの得点率が低い事が多く、ある教科でコケても他の教科で挽回できる可能性があるからです。

しかし、高3の6月以降は科目数が少ないほうを勧めます。時間がないので、特定の科目を仕上げたほうが良いからです。

もちろん、時期だけではなく高校での成績や模試の偏差値、高校の偏差値などを加味して総合的に判断してアドバイスをしています。

6: 学習計画

受験科目が決まったら、年間計画、月間計画、週間計画、毎日の行動を決めていきましょう。

受験コンパスをメインで活用する場面ですね。

目標と生徒の現在地を把握したうえで、目標から逆算した計画を作成して上げてください。

もし、個別の計画作成について悩むことが多いようでしたらFacebook グループ「受験コンパスLABO」などで私にご相談ください。

7: さいごに

さいごまで読んでいただき、ありがとうございます。今回も調子に乗って長く書いてしまいました。

1つでも新規面談や生徒との週間面談で使えそうなネタがありましたら嬉しいです。

そして、使ったネタで面談がうまくいったケースがありましたら受験コンパスLABO でシェアしていただけるともっと嬉しいです。

受験直前期と生徒募集に力を入れる時期が同時にやってきます。そして、気温の変化で体調を崩しやすい時期でもあります。

皆様が心身ともに元気であり続けることを祈念して、コラムの結びとさせていただきます。

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